kintone × Odoo 併用ガイド — 現場のアプリは残して、取引と在庫を Odoo に任せる
kintone のアプリはそのまま使い、受注・在庫・請求・製造を Odoo Community に受け持たせる形を、分け方の3つの型と、Odoo 19 で実際に試したつなぎ方で整理します。
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kintone で日報や案件のアプリを作り、現場の記録はうまく回っている。それでも月末になると、受注の数字を会計ソフトに打ち直し、在庫は Excel で数え直している。こうした会社が、kintone をやめずに Odoo Community を後ろに置く形を、この記事でまとめます。
kintone をやめて Odoo に移す考え方は「kintone から Odoo Community へ」で扱っています。ここでは「両方を使い続ける」前提に絞ります。
役割で分ける
kintone は、自分たちで項目を決めてアプリを作るのが得意です。Odoo は、受注・出荷・請求・仕訳が最初から1つのデータベースでつながっていて、伝票を確定すると次の伝票や在庫・仕訳が動きます。
| kintone | Odoo Community | |
|---|---|---|
| 向いている仕事 | 日報・点検記録・問い合わせ・案件メモ | 見積・受注・出荷・請求・入金・購買・製造 |
| データのつながり | アプリごと(ルックアップで参照) | 受注→出荷→請求→仕訳が1つのデータベース |
| 項目の追加 | 画面で利用者が足せる | 画面で足す道具(Studio)は Enterprise 側。Community でも「プロパティ」や開発者モードで画面から足せる範囲があり、業務の決まりを伴う項目はアドオンで足す(項目の足し方) |
| 使う人の数と費用 | 1人ごとの月額 | ライセンスの費用は人数で変わらない(LGPLv3) |
kintone の料金は 1 人あたりの月額で、スタンダードコースは 1,800 円(税抜)です。最小の契約は 10 ユーザーから。30 人で使うと月 54,000 円になります(2026年10月、kintone の料金ページで確認)。併用するなら、外部とつなぐ機能がスタンダード以上に付く点も見ておきます。料金ページの比較表で、「外部サービス連携、プラグインなどの拡張機能」に印が付くのはスタンダード以上です(ライトは 1,000 円・斜線)。
「入口の記録は kintone、お金と物の流れは Odoo」と分けると、どちらも得意な所だけを受け持てます。
分け方の3つの型
型1:現場の入力は kintone、受注から先は Odoo
営業の訪問記録や案件の進み具合は、使い慣れた kintone のアプリに残します。見積を出す所から先、受注・出荷・請求・入金を Odoo に置きます。
Odoo の受注の一覧(画面は見本のデータです)
Odoo の受注の一覧では、受注ごとに「請求対象」「全額請求済」が出ます。請求の漏れを見るために、kintone と会計ソフトを突き合わせる作業がいらなくなります。
受注の明細を1枚の表で、納期・出荷・請求の状態まで並べて見たい会社には、当社が「受注管理表」を足します。
受注管理表。当社が足す画面の見本です(画面は見本のデータです)
型2:顧客と商談は kintone、取引は Odoo
顧客の台帳や商談の履歴を kintone で作り込んでいるなら、そこは動かしません。Odoo には取引に要る得意先と、受注から先の伝票だけを持たせます。
Odoo にも商談の管理(CRM)は入っていますが、併用では無理に移しません。得意先の名前と番号をどちらが正とするかを先に決め、もう片方へ写す向きを1つにします。
型3:現場の記録は kintone、部品表と製造は Odoo
製造業で、日報・品質のチェック・設備の点検を kintone で付けている形です。部品表(BOM)、製造の指示、発注点による補充、在庫の評価を Odoo に置きます。どれも Community に入っています。基準生産計画(MPS)は Enterprise 側の機能で、Community には入っていません。
在庫を品目ごとに横並びで見て、足りなくなる日まで出したい場合は、当社が「在庫状況照会」を足します。
在庫状況照会。当社が足す画面の見本です(画面は見本のデータです)
つなぎ方(Odoo 19 で試した範囲)
Odoo 19 Community を手元で動かし、外部とやり取りする口を実際に呼んで確かめました。kintone 側の送り方・受け方は、この記事では試していません。
読む・書く:外部 API
Odoo 19 には、/json/2/<モデル>/<メソッド> の形で呼ぶ API があります。利用者ごとに発行する API キーを Authorization の見出しに付け、受注の検索や書き換えができました。キーを付けないと 401 で断られます。
POST /json/2/sale.order/search_read
Authorization: bearer <API キー>
X-Odoo-Database: <DB 名>
{"domain": [["client_order_ref", "=", "KINTONE-REC-0001"]], "fields": ["name", "state"]}
これまでの /xmlrpc/2 と /jsonrpc も Odoo 19 では動きますが、Odoo のソースには「Odoo 19 で非推奨、Odoo 22 で外す予定」と書かれています。新しくつなぐなら /json/2 を使います。
知らせる:自動化ルールの Webhook
Odoo の「自動化ルール」は Community に入っています。動きの1つに「Webhook 通知を送信」があり、選んだ項目を JSON にして、決めた URL へ送ります。
受注が確定したら外へ知らせる設定(手元で試した設定です)
試して分かったことが2つあります。
- きっかけの選び方で、送る回数が変わる。「作成・更新のとき」に「状態が受注」の条件を付けると、受注を1件確定しただけで 3 回送られました。「状態が設定されたとき」にすると 1 回でした
- 送りっぱなし。待つのは 1 秒で、失敗しても送り直しません。見出しも
Content-Typeしか付けられないので、API トークンを見出しに載せる kintone の REST API へは、そのままでは書き込めません
このため、kintone へ書き戻すときは、間に小さな中継(トークンを付ける・失敗したら送り直す・同じ通知を2回受けても1回にする)を置きます。当社はこれをアドオンとして用意します。
受ける:Webhook の受け口
自動化ルールのきっかけを「Webhook 上」にすると、ルールごとに秘密の URL ができます。そこへ JSON を送ると、決めた動き(ここでは受注のメモに書く)が走りました。
外から受ける設定(手元で試した設定です)
1 台のサーバーに DB が複数ある環境では、URL だけに送ると 404 でした(どの DB か決まらないため)。DB を1つにするか、受け口の手前で DB を決める設定が要ります。kintone の Webhook が送る中身は Odoo が待つ形(_model・_id)と違うので、ここでも中身を読み替える部品を足します。
つないだ後に見るもの
併用の効き目は、受注や在庫の数字を、打ち直さずに1か所で見られることです。Odoo の受注と請求を元に、売上と粗利を月ごとにまとめる画面は、当社が「経営ダッシュボード」として足します。
経営ダッシュボード。当社が足す画面の見本です(画面は見本のデータです)
始める前に決めること
- どちらが正か:得意先・品目・受注の番号を、kintone と Odoo のどちらで作るか
- 向き:kintone→Odoo だけか、Odoo→kintone の書き戻しも要るか
- きっかけ:どの状態になったら知らせるか(確定・出荷・請求)
- 失敗したとき:送れなかった通知を誰がどこで見て、どう送り直すか
kintone を捨てるかどうかは、後で決めても間に合います。先に「お金と物の流れ」だけを Odoo に移し、つなぎ目を1本ずつ確かめていく方が、現場を止めずに進められます。
自社のアプリのどこまでを kintone に残し、何を Odoo に任せるか、一緒に整理したい場合はお問い合わせからご相談ください。





