Odoo の導入費用の考え方 — 年額で借りるか、買い取って持つか
Odoo の費用は、何にお金がかかり、何がかからないかを分けると見通しが立ちます。借りる形と持つ形の違いと、後から費用が膨らまない作り方を説明します。
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ERP の費用の話は、見積の金額から始まりがちです。ただ、費用の見通しが立つかどうかを決めるのは、金額そのものより「何にお金がかかり、何がかからないか」が先に分かっているかどうかです。この記事では、Odoo を例に、その分け方と、後から費用が膨らみにくい作り方を説明します。各社の価格を並べた相場は、ERP 導入費用の相場にまとめています。
かかる物・かからない物
Odoo の Enterprise は、使う人の数に応じたサブスクリプションで使う形です。公式のライセンスの説明でも、正しいユーザー数分の契約があるときに限り使える、とされています。Community は、ライセンス料なしで使える条件で公開されています。
Community に足りない機能を追加部品(アドオン)として足して使う場合、お金の出方は次のようになります。
| 何にかかるか | いつ | |
|---|---|---|
| かからない | 使う権利(ライセンス料) | - |
| かからない | 人が増えた分の上乗せ | - |
| かかる | 導入の作業:業務の確かめ・設定・データの移し替え・教育 | 初めに |
| かかる | 足りない機能づくり:締め請求・入金の消込・日本の様式の帳票など | 初めに |
| かかる | 動かし続ける:サーバー・バックアップ・問い合わせ | 毎月・毎年 |
| かかる | 大きな版へ移す:足した部品を新しい版に合わせる | 大きな版を上げるとき |
最後の行が、見落とされやすい費用です。Odoo の大きな版はおおむね毎年出ます。古い版のまま使い続けることもできますが、いずれは新しい版へ移す作業が要ります。
借りる形と持つ形は、線の形が違う
借りる形と持つ形を、払い続けた額の線で並べると、形の違いが見えます。
- 借りる形:始めるときは軽く、その後は年ごとに同じだけ積み上がります。人が増えると傾きが増します
- 持つ形:初めの導入の作業が大きく、その後は動かし続ける費用と、大きな版へ移すときの段だけが乗ります
どこで2本の線が交わるかは、人数・使う業務・足す機能の量で変わります。持つ形で見通しを立てるには、初めの作業と、版を移すときの段を、どこまで小さくできるかがすべてです。これは値引きの話ではなく、作り方の話です。
段を小さくする作り方
公式の Odoo には手を入れない
公式の中身を直接書き換えると、大きな版へ移すとき、新しい版の中から「直した所」を全部探し直すことになります。どこを直したかを覚えている人がいなくなると、探す作業そのものが読めなくなります。
当社は公式の Odoo を書き換えず、足す物はすべてアドオンとして別に置きます。版を移すときは、公式を新しい版に入れ替え、移す対象は足した部品だけにします。
足し方の決まりを守る
Odoo の拡張の道具は強力で、公式や他のアドオンの処理を、エラーも出さずに消せてしまいます。当社が Odoo 19 Community に仮のアドオンを入れて 11 の実験・28 項目を確かめたところ、たとえば super() を呼ばない上書きで、先に入っていた別の部品の処理が黙って消えました。
こうした壊れ方は、作った直後には気づかれず、後から「なぜか合わない」という問い合わせになって返ってきます。原因探しに時間がかかり、見積に無い費用になります。当社は、やってはいけない書き方を 8 つの決まりにして、それに沿って作ります。決まりの中身は版上げに強いカスタマイズで説明しています。
置き場所を分ける
足す部品は、どの会社にも共通の物と、御社だけの物に分けて置きます。
- 日本向けの部品:締め請求・入金の消込・承認・日本の様式の帳票など、日本の会社に共通の物
- 御社ごとの部品:御社だけの項目・帳票・手順
共通の物は当社が用意している部品を使うので、御社のために一から作る範囲は、御社だけの物に絞られます。版を移すときも、日本向けの部品は当社が新しい版へ移します。
「画面が出た」と「正しく動く」を分けて確かめる
画面が開けても、確定した伝票の金額や在庫、見える範囲が正しいとは限りません。当社は次の3つの段で確かめます。
- 書き方を読む:やってはいけない書き方が入っていないかを、作ったソースから探す
- 処理を走らせる:Odoo のテストの仕組みで、伝票を作って確定し、金額・在庫・仕訳を確かめる
- 画面で操作する:ブラウザで、実際の利用者の権限で開いて押す
テストは作って終わりではなく、版を移したあとに同じテストを新しい版でもう一度回すためにあります。テストが手元に残っていれば、版を移す作業の確かめ直しも、毎回同じ手順で済みます。
見積で聞くこと
費用の見通しは、金額の下の作り方で決まります。Odoo の見積を受け取ったら、次のことを聞いてください。
| 聞くこと | 見通しが立つ答え |
|---|---|
| 公式の Odoo を書き換えますか | 書き換えない。足す物はアドオンに分ける |
| 大きな版へ移すとき、何を移しますか | 足した部品だけ。移す作業の進め方が決まっている |
| テストは納品物に入りますか | 入る。版を移したあとも同じテストを回せる |
| ソースは手元に残りますか | 残る。別の会社や社内でも続けられる |
| 人が増えたら費用は変わりますか | 持つ形なら、使う権利の費用は変わらない |
Enterprise と Community で何が入っていて何が無いかは、Community と Enterprise の違いで数えています。
まとめ
- Community は使う権利と人数の上乗せにお金がかからない。かかるのは導入の作業・足りない機能づくり・動かし続ける費用・大きな版へ移す作業
- 持つ形の費用の見通しは、初めの作業と、版を移すときの段の大きさで決まる
- 公式に手を入れない、足し方の決まりを守る、置き場所を分ける、3つの段で確かめる。この作り方が、版を移すときの段を小さくする
当社は、Odoo Community の上に日本向けの部品を足し、ソース一式をお渡しします。費用は、使う業務と移すデータの量を伺って個別にお見積りします。お問い合わせからご相談ください。