ERP 導入費用の相場 — 年額で借りる・買い取って持つ
ERP の費用は、毎年払い続ける形か、一度払って手元に持つ形かで、見積書の中身が変わります。公式の料金ページで確かめた価格と、見積を比べるときの見どころをまとめました。
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ERP の見積を何社か並べると、桁が違って見えることがあります。多くの場合、差は機能よりも払い方の形から出ています。毎年払い続けて借りるのか、一度払って手元に持つのか。ここを先に分けてから比べると、見積書が読みやすくなります。
費用は3つに分かれる
どの ERP でも、お金が出ていく先は次の3つです。
| 費用 | 中身 | 借りる形 | 持つ形 |
|---|---|---|---|
| ソフトの利用料 | 使う権利 | 人数 × 期間で毎年 | ライセンス料なし |
| 導入の作業 | 設定・データの移し替え・教育・足りない機能づくり | 初めにまとめて | 初めにまとめて |
| 動かし続ける費用 | サーバー・保守・版上げ | 利用料に含まれることが多い | 自社か委託先で持つ |
借りる形は、利用料に保守やサーバーが含まれる分、始めやすくなります。そのかわり人が増えるほど、年数がたつほど、支払いが積み上がります。持つ形は、利用料が無いぶん、導入の作業と運用を誰が受け持つかで費用が決まります。
公式の料金ページで確かめた価格
2026年10月26日に、各社の公式の料金ページを開いて確かめました。税・為替・割引は含めていません。
| 製品 | 公式に出ている価格(1ユーザー) | 払い方 |
|---|---|---|
| Odoo スタンダード | 月 US$28.50(年払い)/US$36.00(月払い) | 年額か月額・人数に応じる |
| Odoo カスタム | 月 US$51.90(年払い)/US$65.40(月払い) | 年額か月額・人数に応じる |
| Dynamics 365 Business Central | Essentials 月 11,994円・Premium 月 16,491円(年払い・税抜) | 年額・人数に応じる |
| kintone | ライト 月 1,000円・スタンダード 月 1,800円(税抜・最低 10 ユーザー) | 月額か年額・人数に応じる |
| SAP S/4HANA Cloud・SAP Business One | 公式で要確認 | - |
| Oracle Fusion Cloud ERP | 公式で要確認 | - |
| OBIC7・奉行V ERP・SMILE V | 公式で要確認 | - |
| freee 統合型ERP | 公式で要確認(ページは導入相談の案内のみ) | - |
Odoo の料金ページには、初めて契約する人数に対して 12 か月だけ効く割引も並んで表示されます。上の表は割引の前の価格です。国内の大手・中堅の ERP は、公式のページに金額を出していない物が多く、見積を取らないと比べられません。
30人で1年使うと
公式の単価に 30 人と 12 か月を掛けると、利用料だけで次のようになります(導入の作業は別)。
| 製品 | 30人・1年の利用料 |
|---|---|
| Odoo スタンダード | US$10,260 |
| Odoo カスタム | US$18,684 |
| Business Central Essentials | 4,317,840円 |
| Business Central Premium | 5,936,760円 |
| kintone スタンダード | 648,000円 |
この金額が、使い続ける限り毎年かかります。kintone は業務アプリを作る道具で、在庫や会計の仕組みは自分で組み立てる前提です。
Odoo の2つの版は、払い方が違う
Odoo には Community と Enterprise があります。公式のライセンスの説明では、Community は LGPLv3 で公開されています。Enterprise は、正しいユーザー数分の有効なサブスクリプションがあるときに限り使える、と書かれています。
| Enterprise(借りる) | Community + 追加部品(持つ) | |
|---|---|---|
| 利用料 | 人数に応じて毎年 | なし |
| 人が増えたとき | 利用料が増える | 変わらない |
| 契約をやめたとき | Enterprise の機能は使えない | そのまま使える |
| 日本の請求・支払の機能 | 別に用意が要る | 追加部品として足す |
Enterprise をスタンダードプランで使うと、Odoo のクラウドの上で、自社で作った部品は載せられません。自社のサーバーや Odoo.sh に置くのはカスタムプランです。Community には、財務レポート・承認のアプリ・バーコードの画面などが入っていません。何が入っていて何が無いかは、Community と Enterprise の違いで数えています。
当社は、Community の上に、締め請求書・得意先ごとの振込手数料の負担に合わせた入金の消込・全銀協形式の振込データ・日本の様式の帳票などを追加部品として足します。費用は、使う業務と移すデータの量を伺って、個別にお見積りします。
見積書に載りにくい費用
利用料の差より大きくなりやすいのが、次の費目です。見積書に「別途」「一式」とだけ書かれていたら、中身を聞いてください。
- データの移し替え:品目・取引先・残高を、どこまで誰が移すか
- 教育:何人に、何回、誰が教えるか
- 他のシステムとのつなぎ:銀行・EC・給与ソフトなど、つなぐ先ごとに
- 帳票:請求書・納品書を自社の様式に合わせる数
- 足りない機能づくり:標準で足りるという説明を、実際のデータで確かめたか
見積を比べるときに確かめること
| 分け方 | 確かめること |
|---|---|
| 利用料 | 人が増えたときの増え方/最低の契約人数と期間/やめるときの条件 |
| 版上げ | 新しい版へ移るときに費用がかかるか/作った部品が動き続けるか |
| 導入 | 作業が人日と単価で書かれているか/範囲が変わったときの精算の決め方 |
| 運用 | 障害のときの窓口と時間帯/バックアップと戻し方 |
| やめるとき | データをどの形式で返してもらえるか/ソースが手元に残るか |
書かれていない費目は、0円ではなく「まだ決まっていない」と読むのが安全です。
どちらが合うか
- すぐ始めたく、人数がしばらく増えないなら、年額で借りる形が手早い選び方です
- 人が増えていく、長く使う、ソースを手元に置きたいなら、Community に追加部品を足して持つ形が合います
Odoo Community がどんなソフトかは、Odoo Community とはで説明しています。