そもそも ERP とは?会計ソフトとの違い
ERP は、受注・出荷・請求・入金と会計を1つのデータでつなぐ仕組みです。会計ソフトとどこが違うのかを、Odoo Community の画面で確かめます。
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ERP は Enterprise Resource Planning の略で、日本語では「基幹業務システム」と呼ばれることが多い仕組みです。販売・購買・在庫・製造・会計といった会社の仕事を、1つのデータベースの上でつないで動かします。
言葉だけだと会計ソフトとの境目が見えにくいので、この記事では「どこで数字が生まれ、どこへ流れるか」に絞って比べます。例には、無料で使える Odoo Community の標準の画面を使います。
会計ソフトは「結果」を受け取る
会計ソフトが扱うのは仕訳です。売上が立った、仕入代金を払った、という取引が終わった後の結果を、経理の担当者が入れていきます。
その手前の仕事は、別の道具で動いていることがよくあります。
- 見積と受注は Excel、出荷は倉庫の台帳、請求書は請求書の作成サービス
- 発注は担当者のメール、入荷は紙の納品書
- 経理は、それぞれの道具から数字を拾って、会計ソフトへ打ち直す
この形の弱いところは、同じ数字を何度も入れることと、道具どうしで数字が合わなくなることです。月末に請求の一覧と会計の売掛金が合わず、どこでずれたかを探す。こうした作業は、道具の数だけ増えていきます。
ERP は「元の取引」から会計までを1本でつなぐ
ERP では、受注・出荷・請求・入金が同じデータの上に並びます。前の伝票から次の伝票を作るので、数字は最初に1回入れるだけです。会計の仕訳も、その流れの途中で自動でできあがります。
| 会計ソフト | ERP | |
|---|---|---|
| 扱う範囲 | 仕訳・帳簿・決算 | 受注・購買・在庫・製造から仕訳まで |
| 仕訳の入れ方 | 担当者が入れる | 請求書や支払の記帳から自動でできる |
| 数字の元 | 他の道具の数字を拾う | 受注や発注の伝票そのもの |
| ずれを探すとき | 道具をまたいで突き合わせる | 伝票をたどって元へ戻れる |
会計ソフトが悪いわけではありません。取引の数が少なく、担当者が1人で全体を見られるうちは、会計ソフトと表計算で十分に回ります。ERP を考えるのは、部署や担当者が分かれて、数字の受け渡しで手が止まるようになってからです。
Odoo の画面で見る:受注から仕訳まで
見本の会社が、得意先から受けた注文を請求し、代金を受け取ったところです。
請求書(画面は見本のデータです)
請求書の番号の横に、元になった受注の番号が入っています。品目・数量・単価は受注から引き継いだもので、この画面で打ち直してはいません。上のボタンからは、元の受注(販売オーダ)と、受け取った入金(支払)へそのまま移れます。
もう1つのボタン「Journal Items」(Odoo 19 の日本語の画面でも英語のまま出ます)を押すと、この請求書を記帳したときにできた仕訳が開きます。
請求書からできた仕訳(画面は見本のデータです)
勘定科目でまとめると、借方に売掛金、貸方に売上高と仮受消費税の 3 行です。経理の担当者は、この仕訳を1行も入れていません。請求書を記帳した操作が、そのまま会計の記録になっています。入金を記録すると売掛金が消し込まれ、請求書に「支払済」の帯が付きます。
昔の ERP が「大企業のもの」だった理由
ERP は長く、大きな会社の道具と見られてきました。自社にサーバーを置き、製品の使用料と、自社の仕事に合わせる作り込みに大きなお金をかける形が中心だったからです。
いまは、月額や年額で借りるクラウドの ERP と、ソースが公開されていて無料で使えるオープンソースの ERP が加わり、小さな会社でも手の届く道具になりました。Odoo Community は後者で、受注から会計までの流れは標準で入っています。一方で、締め日でまとめる請求書や、得意先ごとの振込手数料の負担に合わせた入金の消込のような日本の業務は入っていないため、当社が足します。
次に読む
- Odoo Community に何が入っていて、何が入っていないか:「Odoo Community とは?」
- 伝票のつながりを画面で順にたどる:「3分でわかる Odoo Community」

