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見込み生産の「作りすぎ」「足りない」を、需要のカレンダーで減らす

特売・連休・地域の行事・天気。見込み生産の数を動かす出来事を日付の上に集め、品目ごとの増減を人が直せる画面を、Odoo Community に足す形で紹介します。Community の標準でできること・できないことも整理します。

5分
最終更新: 2026年10月26日
見込み生産需要予測生産計画Odoo Community
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見込み生産の「作りすぎ」「足りない」を、需要のカレンダーで減らす

「来月の特売に向けて、いくつ多く作っておくか」。豆腐や麺のような日持ちの短い品も、部品や日用品も、見込みで作る会社はこの判断を毎週のように繰り返しています。多すぎれば廃棄や値引きに、少なすぎれば欠品と取引先からの信頼の低下につながります。

この記事では、その判断を「人の勘」から「みんなで見られる場所」へ移すための画面を紹介します。Odoo Community の標準でできることと、当社が足す画面とを分けて書きます。

数を動かす出来事は、あちこちに散らばっている

増産や減産の判断がむずかしいのは、計算がむずかしいからではありません。材料になる出来事が、別々の場所にあるからです。

出来事ふだん届く場所
取引先の特売営業の担当者へのメールや電話
連休・祝日壁のカレンダー
給料日担当者の経験
地域の祭りや行事市の広報、地元の付き合い
冷え込み・雨天気予報

これらを一人の担当者が頭の中で足し合わせ、製造の数を決めています。その人が休むと誰も同じ判断ができず、外れたときも「なぜそう読んだのか」が残りません。

Odoo Community でできること・できないこと

Odoo Community の在庫の機能には、先の在庫を見るための仕組みが入っています。撮影用の Odoo(Community の標準)で、次のものが在ることを確かめました。

  • 予測数量:手元の在庫に、確定した入荷の予定を足し、出荷の予定を引いた数
  • 最小在庫ルール(再オーダルール)と補充:在庫が決めた数を下回りそうになると、発注や製造を促す

ただし、どちらもすでに確定した注文から先を見る仕組みです。「来月に特売がある」「その週は冷え込む」といった、まだ注文になっていない需要を日付の上に置く画面はありません。

需要の見込みから生産の数を組み立てる基準生産計画(mrp_mps)は Enterprise 側の機能で、Community には入っていません。Community と Enterprise の違いは「Community と Enterprise、何が違う?」に、在庫の機能の全体は「Excel 在庫管理の限界を突破」にまとめています。

当社が足す画面:需要イベントカレンダー

そこで当社は、出来事をひと月のカレンダーに集め、品目ごとの見込みを並べる画面を足します。以下は、Odoo の中で動かした当社が足す画面の見本です(豆腐・麺・漬物を作る架空の会社)。

出来事を選ぶ

カレンダーの各日に、休日・給料日・地域の行事・特売・天気の出来事を色で置きます。日の下には、その日の出荷の予測と、例年と比べた割合が出ます。出来事を選ぶと、右側に品目ごとの平時の量(1日あたり)と増減の割合、その期間に平時より何ケース増えるか減るか(「増減量」の列)が並びます。

需要イベントカレンダーの画面(見本):連休を選んだところ

連休は豆腐が減って焼きそばが増える、という読みを品目ごとの増減で持ちます(画面は見本のデータです)

右下には、出来事の始まりから逆に数えた「原料の手配」と「製造開始」の日付が出ます。特売の連絡を受けた時点で、いつまでに何をすればよいかが決まります。

増減を直す

予測は外れるものです。だからこそ、直すのは人にしています。取引先から「今回は大きく売り出す」と聞いたら、その品目の増減の欄を書き換えるだけです。

見本では、特売の日の木綿豆腐を 35% から 45% に直すと、その日の見込みの増えが 144 ケースから 185 ケースに変わりました。直した出来事には印が付くので、誰がどこを読み替えたのかが残ります。

需要イベントカレンダーの画面(見本):特売の増減を直したところ

直した出来事には「変」の印が付き、「元に戻す」で最初の値に戻せます(画面は見本のデータです)

日を選ぶ

日を選ぶと、その日に重なる出来事と、品目ごとの例年・予測・例年比が出ます。祭りと冷え込みが重なる週末のように、出来事が2つ以上かかる日は、増減を足し合わせて計算します。

需要イベントカレンダーの画面(見本):祭りの日を選んだところ

油揚げと焼きそばが例年より大きく伸びる日を、製造の前に確かめられます(画面は見本のデータです)

予測の計算は、まず単純に

見本の計算は「平時の量 × 曜日の係数 ×(1 + 重なる出来事の増減)」という単純な式です。統計の予測モデルを足すこともできますが、どれだけ当たるかは会社のデータの量と質で変わるため、ここで精度の数字は約束しません。

最初の一歩は、予測を賢くすることではなく、担当者の頭の中にある読みを、全員が見られる場所に出すことです。読みが残れば、外れたときに振り返れます。振り返りが溜まってから、予測の仕組みを足しても遅くありません。

どう作るか

この画面は Odoo のソースを書き換えず、当社の追加部品(アドオン)として足します。材料と行き先は、Odoo の標準にあるものを使います。

役割使うもの
平時の量・曜日の癖受注と出荷の実績(Odoo の販売・在庫)
出来事画面で登録(取引先の特売、地域の行事など)。祝日の一覧は取り込みを用意します
決めた見込みの行き先製造オーダーや最小在庫ルールへつなぐ部分を足します
見られる人Odoo のアクセス権の設定に従います

壊れない足し方は「アップデートしても壊れない — Odoo の拡張の作り方」に書いています。

まとめ

これまで需要イベントカレンダーを足すと
特売の連絡は担当者のメールの中日付の上に出来事として並ぶ
増産の数は一人の勘で決まる品目ごとの増減として画面に残る
直前に気づいて慌てる原料の手配と製造開始の日が先に出る
外れても理由が残らない直した出来事に印が残り、振り返れる

Odoo Community の在庫の仕組みは、確定した注文から先を見るところまでです。その手前の「まだ注文になっていない需要」を扱う画面は、当社が足します。

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