Excel 在庫管理の限界を突破 — Odoo で在庫の「見えない」をなくす
数が合わない、どこにあるか分からない、いくらあるか言えない。Excel の在庫表が行き詰まる理由と、Odoo Community の在庫の機能(倉庫・ロット・入出庫の記録・在庫の評価)で何が変わるかを、実際の画面で確かめます。
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在庫を Excel で管理している会社は多くあります。始めやすく、誰でも開けて、形も自由に変えられるからです。ところが、品目や倉庫、担当者が増えてくると、同じ表が少しずつ信用できなくなっていきます。
この記事では、Excel の在庫表が行き詰まる理由を整理し、Odoo Community の在庫の機能で何が変わるのかを、実際の画面で見ていきます。
Excel の在庫表が行き詰まる理由
Excel の在庫表で起きる困りごとは、だいたい次の3つに分けられます。
数が合わない。在庫表は「入った」「出た」を人が書き写して作ります。受注の表、出荷の控え、仕入の伝票と、元の記録が別々にあるので、書き忘れや二重の記入がそのまま残ります。棚卸のたびに表と現物がずれていて、どこでずれたのかは後から追えません。
どこにあるか分からない。倉庫が2つ、棚が何十とあると、品目ごとの合計だけでは足りません。場所ごとの列を足していくと表は横に長くなり、更新する人ごとに書き方が変わります。
いくらあるか言えない。経理が知りたいのは数ではなく金額です。現場の表から単価を掛けて別の表を作るので、月末の在庫の金額が出るまでに日数がかかり、現場の数とも食い違います。
どれも、表の作り方を工夫するだけでは解決しません。在庫を「書き写す」のではなく、伝票の動きから自動で数える仕組みに変える必要があります。
Odoo の在庫は「動き」から数える
Odoo Community には、在庫の機能(stock)と在庫の評価(stock_account)が標準で入っています。Odoo 全体の中身は「Odoo Community とは?」にまとめています。
考え方の中心は、在庫の数は、入荷・出荷・移動の記録を足し引きした結果だということです。受注を確定すると出荷の伝票が、発注を確定すると入荷の伝票が作られ、それを「完了」にした時点で在庫が動きます。人が在庫表を直すことはありません。
倉庫ごと・場所ごとの在庫
倉庫は何か所でも持てます。倉庫の中を棚や区画(ロケーション)に分けることもできます。実地棚卸の画面で在庫を場所でまとめると、場所ごとの合計と、その中の品目がひと目で分かります。
実地棚卸の画面を場所でまとめた一覧(画面は見本のデータです)
サイズや色が違う品目は、1つの品目の「バリアント」として持てます。たとえば作業用グローブなら、S・M・L と白・黒の組み合わせごとに在庫を数えられます。
ロットとシリアル番号
原材料のように、仕入れた時期ごとに区別したい品目は、品目の設定で「ロット」で管理するように切り替えます。製品を1つずつ区別したいときは「シリアル番号」です。入荷のときにロットを付けると、どのロットがどの倉庫に残っているかを一覧で追えます。
ロット(画面は見本のデータです)
消費期限で管理したい場合は、標準の配布物に入っている期限のモジュール(product_expiry)を加えると、ロットごとに期限を持てます。
入出庫の記録
入荷・出荷・倉庫の間の移動は、すべて伝票として残ります。どの受注・発注から作られたか、予定日はいつか、もう終わったのかが1つの一覧に並びます。
入荷と出荷の伝票(画面は見本のデータです)
終わった動きは、品目の単位で「移動履歴」に残ります。いつ、どこからどこへ、いくつ動いたかが消えずに残るので、数が合わないときに原因の伝票までたどれます。
移動履歴(画面は見本のデータです)
棚卸で現物を数えた結果も、この履歴に「調整」として残ります。表を上書きするのではなく、差を記録として残す形です。
在庫の評価
在庫の金額は、品目のカテゴリごとに原価の計算の方法を決めて求めます。選べるのは 標準原価・移動平均・先入先出 の3つです。仕訳の作り方も、期末にまとめて作るか、動きのたびに作るかを選べます。
品目のカテゴリと在庫の評価(画面は見本のデータです)
数と金額が同じ記録から出るので、現場の数と経理の金額が別々に動くことがなくなります。
発注点
品目と倉庫ごとに「最低いくつ・最大いくつ」を決めておくと、下回ったときに補充の発注の案が作られます(入庫規則・発注点)。欠品に気づいてから発注する形から、減ってきたら案が出る形に変わります。
全部の品目を横に並べて、いつ足りなくなるかを一覧で見たい場合は、「在庫状況照会」で当社が足す画面の見本を紹介しています。
標準に無いもの
Odoo Community の在庫に入っていないものもあります。
- バーコードで入出荷する画面(stock_barcode)は Enterprise 側の機能です。ハンディやスマートフォンで読み取りながら出荷する画面は、当社が追加部品として用意します
- 品質の検査(quality_control)も Enterprise 側です
- 日本の様式の納品書・出荷の帳票はどちらの版にもありません。当社が足します
ネットショップや他のシステムとの在庫の連携は、標準の API で作れますが、相手ごとのつなぎ込みは別に作る必要があります。
Excel から移るときの進め方
- 品目と場所を決める:品目の一覧、倉庫と棚の分け方、ロットで管理する品目を決めます
- 今の在庫を入れる:棚卸をして、場所ごと・ロットごとの数を初めの在庫として登録します
- 伝票から動かす:受注・発注を Odoo で作り、出荷と入荷を「完了」にする流れに切り替えます。在庫表を直接直す運用はやめます
- 原価の方法を決める:経理と相談して、カテゴリごとの原価の方法と仕訳の作り方を決めます
最初から全部の倉庫を移さず、1つの倉庫、一部の品目から始めると、現場の負担を抑えられます。
自社の在庫の管理を Odoo でどう組むか、一緒に整理したい場合はお問い合わせからご相談ください。




